7. ダビド・フェレールのバックハンド強打

フェレールのバックハンドは安定感抜群であり、強力なボールを打つことができ、左右に振り回すことができます。しっかりと右肩を入れたテイクバックから、クロス、ストレートどちらにも強打できるので攻撃力があります。相手につけいるスキを与えません。エースをとれるスピードボールをミスなく、打ち続けることができます。下半身のパワーを活かしたダイナミックさはないが、しっかりと腰を曲げて腰を入れて打ちます。相手に攻撃された場合に、しっかりと膝を曲げて丁寧にクロスに返すところは見習うべきでしょう。

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主に上半身の体幹と上腕の力を使ってボールを打ちます。高い打点の強打も得意で、腕力があるため、両腕を使って思い切って横振りで打ちます。フォロースルーではいつも右肩の上までラケットを振り切りますが、そこまで大きなスウィングではなく、スウィング自体は小さめです。インパクトに集中して力を込めて打ちますが、インパクト後は、力を抜き惰性で振り抜きます。それほどスピンをかけず、フラット系でラケット面を合わせて打ち返す場面が多い。リターンもうまいです。合わせるのがうまいです。打ち合いにも負けません。
手打ちで打つことが多く、スピードの最高時速はそこまで速くないです。また、相手が予想以上に速いボールを打ってきた場合はボールに負けて威力がなくなってしまうこともあります。フェレールのフォームは、腕と体幹の力を使って打つフォームです。さらに重たいボールを打つタメには、下半身や腰の力をうまく使う必要があります。しかし、そうすれば、しっかりとタメを作って下半身を安定させて打たなければなりません。常に動き回って打つプレースタイルのフェレールには不向きかもしれない。

違う角度から見たフェレールのバックハンドストローク

9. マリン・チリッチのバックハンド強打

チリッチのバックハンドは、一般愛好家が最も見習うべきバックハンドでしょう。高い身長から高い打点のフラット系バックハンドは非常に強烈です。基本的にどんなボールが来ても、しっかりと横向きを作って、体重を前に(右足に)乗せて打ちます。そのバックハンドには非常に威力があります。テイクバックでしっかりと右肩を入れ、すばやく横向きを作ります。体重をいったん左足(後ろ足)に乗せます。ラケットの動きがスムーズで流れるようにスウィングします。体重を前に乗せ、思い切ってスウィングして、打ち込みます。フォロースルーでしっかりと身体を回転させ、最後まで振り切ります。浅いボールに対しては、前方にステップインし、横向きのままジャンプしながら打つことも多いです。ただ、ほどんどのショットを横向きで打つため、サイドに振られたときも(オープンスタンスを使わずに)横向きで打ちますので、少し窮屈に感じることもあります。

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リターンもうまく、パッシングも安定しています。安全に行くときは、膝をしっかりっと深く曲げ、身体の回転を抑えて打ちます。ストレートへの強打もうまく、フラット系で伸びがあります。厳しいボールに対しては、スライスを用いる柔軟性もあります。フォアハンドもバックハンドも攻撃的に打ち込みます。常に相手にプレッシャーをかけ、攻撃し続けます。そのため、アンフォースドエラーを重ねてしまうシーンもあります。メンタル的に少し弱いところもあり、接線で弱腰になることもあります。バックハンドストロークのスピードはかなりありますので、アンフォースドエラーを減らすことが課題でしょう。

違う角度から見たチリッチのバックハンドストローク

10. ラファエル・ナダルのバックハンド強打

ナダルのバックハンドは、強烈なスピードボールを打つ技術と、壁のように緩いボールを打ち相手の勢いを止める技術を持っています。フォアハンドと違って、それほどスピンをかけません。インパクトの位置が非常に前です。両腕が伸び切ったところで打ちます。手首もかなり伸ばし気味に打ちます。そのため、打点の範囲は広い。フォロースルーでは、身体に巻きつけます。クロスに打ちやすいフォームをしています。バックハンドのクロスが一番の武器です。ナダルはラリー中、自分のバックハンドクロスがエースになるタイミングを見計らい、クロスへの強打のタイミングをうかがいます。相手がコートの中央への戻りが遅いと、すかさずオープンコートにクロスボールを打ち込みます。相手が返球できたとしてもナダルには回り込みフォアハンドがあります。フォアハンドの強打があるから、あえてそれほど無理をしません。相手のアンフォースドエラーを誘うかのように、しつこく返し続けることもします。バックハンドのストレートに強打することもできます。バックハンドのクロスボールの返球が甘くなったとき、バックハンドでストレートを打ち込みます。ナダルのバックハンド側を狙っても、ライジングショットでカウンターすることもできます。また、ペースを落として打ったり、バックハンドスライスも多用します。

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ナダルは遠い打点が得意です。サイドに振られたときに強さを発揮します。いくら強いボールで強打しアプローチ&ネットダッシュしても、ナダルのストレートへのパッシングショットはうまいです。相手はナダルの強烈なフォアハンドを避けて、バックハンドを狙いますが、ナダルのカウンターの餌食になります。バックハンドでしっかりと左肩を入れ、ボールを引きつけるので、相手にコースを読ませません。相手が先に動くときは、ボールをひきつけます。相手が足を止めてしまったときは、ライジング気味に打ちます。同じ構えから、クロス、ストレートに強打できます。パッシングショットは、かなり速い。相手は、読みが当たっても、ナダルのスピードボールに対応できません。ミスヒットし、エラーしてしまいます。激しいスピンをかけて足元を狙うこともあります。
課題としては、高い打点は少しミスをすることもあります。調子が悪いときは、相手のボールに押されて、明らかにアウトするようなボールを打ってしまうこともあります。高い打点を振り遅れて、ストレートへの強打をサイドアウトするシーンもあります。調子が良いときには手がつけられません。ほとんどミスしません。特にブレイクポイントでは100%ミスしないのではないのかと思わせるほどです。

違う角度から見たナダルのバックハンドストローク

デルポトロのバックハンド(正面・クローズドスタンス)

デルポトロは下半身を非常に丁寧に使ってスイングします。飛んでくるボールに合わせて、身体を沈み込ませて、適切な打点で打っています。腰を落として体を沈み込ませることでボールに下にラケットをもぐりこませ、下から上にスイングしています。今回のケースのような低い打点に対して、ボールよりも上からラケットを出すと必ずネットしてしまいます。アマチュアの方は、デルポトロのようにボールよりも下からラケットを出すことを徹底するようにしましょう。

ジョー=ウィルフィード・ツォンガのバックハンド強打

ラケットを丁寧に押し出すように打っています。ボールに方向性を与えることができています。打ち終わった後もインパクトに顔を残しています。インパクトを点でとらえず、線でとらえています。身体をうまく使って、右足をしっかり踏み込んで右足を中心に身体を回転させ、遠心力を使って打っています。
ツォンガのバックハンドは、非常に重たく、威力があります。しかも大胆で、どこを狙っているのか対戦相手は読みにくい。クロス、アングル、ストレート、深いボール、ヘビートップスピン、しつこくつなぐループ気味のボール、相手に読ませないように様々なボールを打ちます。多彩で攻撃的。バックハンド同士の打ち合いにも強い。基本はクロス方向に引っ張るのを得意にしています。バックハンドスライスもうまい。また、器用で、パッシングショットやランニングショットのときに、片手バックハンドを使うときもあります。高い打点での強打もうまく、リターンでも攻めることもできます。ベースラインの少し後ろで打ち合うのがツォンガの「間」です。相手からエースを取られることも少ないが、自分からエースを量産できる、とまではいきません。

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器用なラケットワークで柔軟に打ち方を変えることもあり応用力が高いですが、少し横着をして打っているように見えるときもあります。相手の逆をつこうとして、ミスをしてしまう場面もあります。また、ベースラインの少し後ろからオーバーペース気味に強打してミスをするシーンもあります。いくら豪腕のツォンガでもベースラインから少し下がったところから強打してもエラーが出てしまいます。必要以上の強打は、力みを生み、打点の乱れを引き起こします。調子が良いときは、狙ったところにボールが行き、ライン上にボールが落ちます。ツォンガのレベルが今より上がるためには、調子の波を一定にすることでしょう。

 


<違う角度から見たツォンガのバックハンドストローク>

リシャール・ガスケのバックハンド強打

片手打ちバックハンドと言えばガスケ。ガスケのバックハンドは芸術的です。ガスケにとってはバックハンドがフォアハンドのようなものです。グリップが厚めでインパクトがかなり前です。フォロースルーで、かなり高くラケットを振り上げます。テイクバック、インパクト、フォロースルーすべてにおいて、無駄な力が入っていません。すべての力がインパクトにおけるボールに伝わっています。無駄なところに力みがなく、幼いころから洗練されてきたというのがわかります。流れるようにスムーズなスウィングをしており、強打するときでもスムーズにスウィングすることができます。軸のブレが全くなく、ラケットの振り抜き方が気持ち良いです。身体中の力が抜けており、インパクトでもそれほど力が入っていないように見えます。だから本気で打ったときのスピードはかなり速い。いつもセーブしながらコントロール重視のショットを打っています。テイクバックも綺麗です。しっかりと右肩を入れ膝を曲げて構えます。ボールをしっかりと見ており、速いタイミングでボールを捉えるときでも自分の最も打ちやすい打点でいつも打ちますので、安定感があります。ベビートップスピンをかけるのがうまく、試合では多用します。バウンドがすごく高く、相手をベースラインの後ろに下げます。バックハンドのカウンターが得意で、不利な場面で体勢が崩れていても、一発でエースを狙える破壊力があります。しかし、ナダルやジョコビッチには返されてしまいます。ベースライン後方やコートサイドに大きく振られたところからの強打は、ナダルやジョコビッチには通じません。彼らは、そのボールに追いついて、逆襲します。だから、ベースラインの内側に入っての強打が必要です。早いタイミングでボールをとらえるのが得意なガスケは、より攻撃的なプレーをすべきでしょう。

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(2)連続写真

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ガスケと言えば、バックハンドのストレートのカウンターです。直線的な軌道でネットすれすれを通過していきます。ボールは威力満点で相手コートに突き刺さります。ただ、それほどコーナーは狙いません。リスクを減らすため、コートの内側を狙って強打します。バックハンドのストレートは、火が出るようなショットです。そこまで打たなくても良いのでは、と思ってしまうほど、強いボールを打ち込みます。もう少しだけ力を抜いた95%の強打を連発した方がよいのではないだろうか、と思ってしまいます。インパクトでは、体重が右足に乗り、右足一本になります。しかし、バランスは崩れていません。左手を大きく後ろに引くことによって、バランスをとっています。ダイナミッックで、体幹が強く、軸がぶれません。ボールをしっかりととらえることができます。欠点を見つけるのが難しいくらいです。バックハンドリターンもうまいです。相手のスキをうかがい、セカンドサーブが甘いと、前に踏み込んでテイクバックゼロでフォロースルーだけでボールを打ちます。面を合わせて打つのが、天才的にうまいです。かなり前方でボールを捉えるため、リラックスしてラケットを前方に差し出しただけような形なのに、ボールに負けません。スライスでかわすのもうまく、ディフェンスに回るときに多用します。ガスケのコートカバーリングを支えているのは、フォアハンドとバックハンドのスライスです。

 


<違う角度から見たガスケのバックハンドストローク>

11. グリゴール・ディミトロフのバックハンド強打

グリゴール・ディミトロフのバックハンド強打:テイクバックでラケットを体に巻きつけており、体の回転を使ったスイングを行っている。片手バックハンドは右足を中心とした回転運動でスイングする。右足裏の外側で地面を蹴り、体重を前方に乗せたまま回転運動で打っている。ラケットの軌道はインサイドアウトで、フォロースルーはかなり大きい。非常に回転量の多いトップスピンショットであるが、テイクバックでラケットヘッドはそれほど落とさずにインパクトしているため、威力を損なわずに重たいボールを打つことができている。

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違う角度から見たディミトロフのバックハンドストローク

18. ガエル・モンフィスのバックハンド強打

モンフィスのバックハンド強打:ダウンザラインに強打した例。両手バックハンドでストレートに打つときは、スイングはインサイドアウトが基本になる。また、インパクトでは体が開かないようにし、インパクトでラケット面を少し寝かせるのもポイントになる(ラケット面を立ててインパクトすると、クロス方向に打ちやすくなる)。また、両手打ちバックハンドストロークでは、フォロースルーでの左手の位置と、左足の位置を結んだ直線上にボールが飛びやすい。そのため、ストレートを狙う場合は、フォロースルーでの左手の位置と左足を結んだ直線が、ストレート方向に向けることがポイントになる。

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違う角度から見たモンフィスのバックハンドストローク

>>前と右から見たモンフィスのバックハンドストローク(ジャックナイフ)