リシャール・ガスケのバックハンド強打

片手打ちバックハンドと言えばガスケ。ガスケのバックハンドは芸術的です。ガスケにとってはバックハンドがフォアハンドのようなものです。グリップが厚めでインパクトがかなり前です。フォロースルーで、かなり高くラケットを振り上げます。テイクバック、インパクト、フォロースルーすべてにおいて、無駄な力が入っていません。すべての力がインパクトにおけるボールに伝わっています。無駄なところに力みがなく、幼いころから洗練されてきたというのがわかります。流れるようにスムーズなスウィングをしており、強打するときでもスムーズにスウィングすることができます。軸のブレが全くなく、ラケットの振り抜き方が気持ち良いです。身体中の力が抜けており、インパクトでもそれほど力が入っていないように見えます。だから本気で打ったときのスピードはかなり速い。いつもセーブしながらコントロール重視のショットを打っています。テイクバックも綺麗です。しっかりと右肩を入れ膝を曲げて構えます。ボールをしっかりと見ており、速いタイミングでボールを捉えるときでも自分の最も打ちやすい打点でいつも打ちますので、安定感があります。ベビートップスピンをかけるのがうまく、試合では多用します。バウンドがすごく高く、相手をベースラインの後ろに下げます。バックハンドのカウンターが得意で、不利な場面で体勢が崩れていても、一発でエースを狙える破壊力があります。しかし、ナダルやジョコビッチには返されてしまいます。ベースライン後方やコートサイドに大きく振られたところからの強打は、ナダルやジョコビッチには通じません。彼らは、そのボールに追いついて、逆襲します。だから、ベースラインの内側に入っての強打が必要です。早いタイミングでボールをとらえるのが得意なガスケは、より攻撃的なプレーをすべきでしょう。

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ガスケと言えば、バックハンドのストレートのカウンターです。直線的な軌道でネットすれすれを通過していきます。ボールは威力満点で相手コートに突き刺さります。ただ、それほどコーナーは狙いません。リスクを減らすため、コートの内側を狙って強打します。バックハンドのストレートは、火が出るようなショットです。そこまで打たなくても良いのでは、と思ってしまうほど、強いボールを打ち込みます。もう少しだけ力を抜いた95%の強打を連発した方がよいのではないだろうか、と思ってしまいます。インパクトでは、体重が右足に乗り、右足一本になります。しかし、バランスは崩れていません。左手を大きく後ろに引くことによって、バランスをとっています。ダイナミッックで、体幹が強く、軸がぶれません。ボールをしっかりととらえることができます。欠点を見つけるのが難しいくらいです。バックハンドリターンもうまいです。相手のスキをうかがい、セカンドサーブが甘いと、前に踏み込んでテイクバックゼロでフォロースルーだけでボールを打ちます。面を合わせて打つのが、天才的にうまいです。かなり前方でボールを捉えるため、リラックスしてラケットを前方に差し出しただけような形なのに、ボールに負けません。スライスでかわすのもうまく、ディフェンスに回るときに多用します。ガスケのコートカバーリングを支えているのは、フォアハンドとバックハンドのスライスです。

 


<違う角度から見たガスケのバックハンドストローク>