錦織圭のフォアハンド強打

錦織圭のフォアハンドストロークは、ボールのしばき方が尋常ではなく、スウィングスピードが速い。また、早いタイミングでボールをしばくこともできる。ボールの高さ、深さを自在に調整できる。腰の回転が鋭く、うまく身体を回転させることでき、ボールにスピードを与える能力に長けている。コンパクトなスウィングで、インパクトでのラケットの支えが強くしっかりしているため、相手ボールに押されて負けることが少ない。スウィングスピードを上げる最も効率の良いフォームです。走っていても、ジャンプしながらでも、上半身の形だけは常に変わらない。バランスが崩れない。インパクトが安定していて、コントロールが良いから、思い切って身体を振り回せる。
右肘を小さくたたんでテイクバックし、右肘を曲げたままインパクトします。インパクトの瞬間の集中力が非常に高く、インパクトできれいにボールを当てます。身体を鋭く回転させて、思いきり右肘を遅らせてスウィングします。ラケットヘッドはインパクト直前で大きくダウンするため、非常にスピンのかかりやすいフォームです。高い打点での強打にも対応しており、当たりが非常に厚い。ラケット面のブレが少ないため、コントロールが非常に良い。ボールを待っている間の姿勢が良く、頭が立ち、常に相手コートを視界に入れながら、ボールを追いかける。ライジングかつ厚い当たりのトップスピンを打つことができる。常に前への意識があり、近年、動きが非常にシャープになってきている。

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<違う角度から見た錦織圭のフォアハンドストローク強打>

4. スタン・ワウリンカのフォアハンド強打

スタン・ワウリンカのフォアハンドは強力で、全仏オープンテニス2015決勝ジョコビッチ戦では破壊的なストローク力でジョコビッチを撃破しました。スタン・ワウリンカのコーチ、マグナスノーマンコーチは、以前ソダーリングのコーチをしており、そのソダーリングも圧倒的なストローク力を持っていました。ワウリンカの進化はコーチによるものが大きかったのかもしれません。

ワウリンカのテイクバックの特徴は、比較的低い位置にラケットをセットする点である。そのため、ワウリンカの打点は標準的なトッププロ選手と比較して低めであるが、その分、下半身の力を十分に使うことができ、スウィングスピードの加速力は大きい。下半身、特に腰の回転を十分に使い、とにかくタメが大きい。他の選手に比べて、タメが大きく、長い「間」を作る。タメを作らせればおそらく世界一のフォアハンドを持っている。ラケットのスウィングの軌道が常に一定で、ブレがない。とにかくボールを前に押す力が強く、ボールをかなりつぶして打つため、打球音が大きい。観客はよくどよめいている。
インパクトでラケット面がブレにくく、当たりが非常に厚い。フォアハンドの強打に自信を持っているため、ショットに迷いがなく、一度強打をすると決めたら、迷いなくとことん振り切っている。強打するときはフラット系が多く、スピン量は少なめ。
“肩の入れ”も特徴的である。

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<違う角度から見たワウリンカのフォアハンドストローク強打>

ラファエル・ナダルのフォアハンド強打

ナダルのフォアハンドストロークのすごさは説明するまでもないだろう。これほどまで全身の筋肉を使って打つ選手はいなかった。特に、下半身、腰、体幹、左腕の運動連鎖が特徴的。低いボールでは、腰が地面に接触するくらい、しっかりと膝を曲げて下半身を使って打つ。膝の曲げ伸ばしを使い、地面の蹴り上げと、腰の回転で、強力な推進力を生み出す。背筋を大きく使い、ラケットを前方に振り出す。インパクトに向けて、左腕を伸ばし切って、体を思い切って開き、大きな遠心力を生み出す。左腕を前方に伸ばして、かなり前の打点でボールをとらえる。インパクト直前でラケット面が下を向いており、インパクトでラケット面が地面に垂直に向く。厚い当たりでボールをとらえる。下から上への力が働いており、頭上までラケットを一気に振り上げる。フォロースルーでは、腕がねじれるように頭上まで、振り上げる。左肩がしっかりと前に出た状態でフィニッシュする。

 

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<違う角度から見たナダルのフォアハンドストローク強打>

7. ダビド・フェレールのフォアハンド強打

ダビド・フェレールのフォアハンドの安定感は抜群、特に下半身の安定感は抜群である。右肘でラケットを押し込むような動作が特徴的である。身体のバネを使って、ジャンプしながら打つ強打は、小柄な選手ながら強烈。ラリー戦での回り込みフォアハンドを得意としている。打ちやすいところまで移動するフットワークが速く、下半身を利用してリズムよく打ち込む。テイクバックでのラケットの引きは小さくコンパクトだが、しっかりと左肩を入れてテイクバックしており、フォロースルーでは右肩が大きく前に出る。ボールをよく引きつけて打つため、相手はコースを読めず、エースになることが多い。高い打点の強打が得意で、下半身の力を使ってボールに全体重を乗せて打ち込む。
ショットのインパクトで毎回、声を出しながら打つ。クレーコートでの戦いでは、ラケットヘッドを大きく回転させて、スピンを多めにかける。

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<違う角度から見たフェレールのフォアハンドストローク強打>

 

17. ジョン・イズナー

破壊力ナンバーワンのイズナー。フラットサーブの重さは歴代トップクラスでしょう。
連続写真は、リズムよく打ち込んだフォアハンド強打。フォアハンドの強打は豪快そのもの。脇をしっかりと締めて、右肩をしっかり前に出して、叩きます。左肩をしっかり入れてテイクバックしているので、相手はコースが読めない。決して手打ちではなく、下半身からの運動連鎖を使っています。一般愛好家が参考にすると、アンフォーストエラーばかりで試合にならない可能性があります。
フットワークに課題がありますが、どフラットで叩き込んで1発でエースを取れる攻撃力はスリリングで魅力的。試合では、サーブから、古いリターンをフォアハンドで1発で決める戦術を多用します。ライジング気味の強打に近年取り組んでおり、2015年はツアー戦で上位まで勝ち上がってくる常連となっています。
2015年錦織戦では、身長がそれほど大きくない錦織に対し、ボールに触れさせないサーブを連発。どこまでも跳ねるキックサーブと、スピンサーブ並みに跳ねるフラットサーブで錦織を撃破しました。

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32. フェルナンド・ベルダスコのフォアハンド強打

フェルナンド・ベルダスコのフォアハンド強打:トッププロのなかでも随一のポテンシャルを持つベルダスコ。運動能力が非常に高く、スイングスピードを上げるセンスは抜群。未だグランドスラムのタイトルをとったことがないのが不思議なくらいである。豪快なフォアハンドと、強力なサーブで相手をねじ伏せる。弱点を見つけるのが難しい。フィジカルも優れており、全身の筋肉が盛り上がっている。自分が100パーセントの力を出せば、勝てない選手はいない。
勝利への貪欲さが今ひとつ足りないか、グランドスラムで勝ちきれない。プレースメントや戦術・戦略面、対戦相手の研究・分析不足が原因。相手に勝つには相手のプレーに順応する能力が必要であり、相手のプレーに合わせつつ、相手の嫌がるプレーをする必要がある。そういったことに長けているのがフェデラーや錦織。戦術的なセンスがあれば、グランドスラム優勝の常連になっている才能の持ち主。

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それぞれの方向から見たベルダスコのフォアハンドストローク