26. ニック・キリオスのフォアハンド強打

なにかとお騒がせなキリオス。派手な言動や豪快なプレーのイメージがあるが、フォアハンドストロークは意外と安定性重視で堅実です。
グリップはかなり厚めで、スウィングはワイパー気味。ラケット面が綺麗に回転します。インパクト直前でラケットヘッドをダウンさせますのでトップスピン量は多めです。フォロースルーは大きく、オープンスタンスをベースに打ちます。ラリーのペースは早すぎず、遅すぎずオーソドックス。ボールスピード、コントロール、回転量、タッチなどのレベルはプロの標準値以上。一番の武器は、安定感が高くミスが少ないところ。山なりの軌道のトップスピンをミスせず打ち続けます。

ベースライン後方でラリーすることが多く、アグレッシブさに欠けますので、攻撃力アップが今後の課題でしょう。ポジションをベースラインの内側にして打ち合うスタイルを身につけることが必要です。相手のミス待ちプレーをする場面も見られます。今後はネットプレーも必要でしょう。浅いボールに対するアプローチ、ライジングショットなど、細かい穴を潰していくことで、弱点のない、負けないプレーができ、グランドスラムでも安定した成績を残せるようになるでしょう。

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27. ジャック・ソックのフォアハンド強打

フルウエスタングリップですさまじい回転をかけてボールをしばくジャック・ソック。トップスピンの回転量はトッププロの中でも1、2を争う。シングルスプレーヤではナダルの次に多い回転量をかける。チャンスボールでは高い打点からフラット系のショットを打つので、エースも多い。
トップスピンの特徴は、ボールのバウンドが高いということである。そのためベースライン付近に深く落とすトップスピンにかなり威力のあるショットになる。トップスピンのスイングでは、インパクトからフォロースルーで、ボールを下から上にこすりあげるという動作が最大のポイントになる。これによってボールに強い順回転をつけるわけで、そのためにはフラット系のショットよりも打点を前にし、フォロースルーも頭上へ高く振り上げるようなフォームにしなければならない。この時の注意点は、決してラケット面をボールにかぶせていくような打ち方をしないこと。ややふせた状態からラケットを起こし、フラットな面でとらえて上に振り抜くのが正しいスイング。こうしないとボールはネットを越さない。

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28. フィリップ・コールシュライバーのフォアハンド強打

フィリップ・コールシュライバーのフォアハンド強打:高い打点をオープンスタンスで強打した例。高い打点はオープンスタンスを使うのが基本である。オープンスタンスは力が入りにくく、ラケットヘッドをうまく走らせる技術が必要になる。フォワードスイングでグリップエンドからラケットを出していくことによってラケットと手首に鋭い角度をつくろう。それによって、スイング開始時の慣性モーメントを小さくし、スイングスピードを鋭く加速させやすいかたちにすることが大事である。ただし、インパクト直前で遠心力によってラケットヘッドが返って手首が伸び、インパクトでは最大打力をつくる。
オープンスタンスは万能のスタンスである。しかし、オープンスタンスばかり練習していると、体重移動の使い方を忘れてしまう。ラケットスイングの基本は回転運動ではなく、あくまで体重移動である。試合ではほとんどのボールをオープンスタンスで返球しているプロ選手が、練習ラリーではきちんと踏み込んで打っています。強い選手、優秀なプレーヤーほど、基本技術に優れているし、基本を大切にしている。逆を言えば、基本が伴っていないと優秀なプレーヤーにはなれません。

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29. ファン・モナコのフォアハンド強打

ファン・モナコのフォアハンド強打:フォアサイドに走りながら打ったフォアハンド強打の例。ジャンプしながら体幹を回転させて打っており、威力十分。
フォアハンドストロークにおいて、テイクバックでは腕の使い方が大切である。上体をひねったテイクバックから、前足を踏み込み(体重移動)、腰の回転でリードしながらフォワードしていくのだが、このときは腕全体をできるだけ柔軟に保ちひじから先に引き出すような感覚で振るのがコツ。体と一体になって振るのだがひじ、手首、最後にラケットという、しなるようなスイングが威力のあるボールを生む。
インパクトからフォロースルーのフォームはグリップによって違ってくる。グリップが厚ければ打点は前で体にも近くなり、薄い場合はその逆になる。つまり、厚いウエスタングリップなら、かなり腕が曲がった状態でインパクトし、フォロースルーで体は前向き、ラケットを上に振り抜くようなフォームになるのに対し、薄いコンチネンタルグリップは腕を伸ばしてボールをとらえ、体が横向きのまま前方へボールを長く押し出すようなフォロースルーになる。

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30. ジェレミー・シャルディのフォアハンド強打

ジェレミー・シャルディのフォアハンド強打:回転を強くかけてスクエアスタンスで打ち抜いた例。トップスピンのお手本のようなショットになっている。リストをあまり使わずコントロール重視で打っており、フィジカルに優れたトッププロに多い。一般のアマチュア、特にジュニア選手は、もう少しリストを使って、ボールにスピードを与えても良いだろう。トップスピンのポイントを以下に記述する。

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トップスピンにおけるポイント
テイクバック:

テイクバックは右手と左肩がポイント。右手でイメージする打点よりラケット面を落とし、かつ下向きの面をつくる。左肩と左肘は右手を引っ張り体の回転を生み出すために、しっかりと前に出す。

フォワードスイング:

体の回転による右手のスイング力を生むためには、オープンスタンスの方がスムーズ。ラケットを下から上に振り上げるために、軸足に全体重をあずけてしまう。体重移動しないぐらいのつもりでよい。

インパクト:

左肩と左肘で右手を引っ張りながら、ラケット面を下から上へ、かつ右から左へと振り上げる。テイクバックとフィニッシュでのラケット面の高低差が大きいほど、垂直に振られるほどスピンがかかる。スイングの垂直方向への力を生むために、ひざが伸び上がる力も利用する。こうするとボールが長くラケット面に接触できる。

フォロースルー:

ラケットを高く振り抜き、そこからラケットヘッドが頭の上を回るようにして大きく左肩まで振り切る。もし体重移動しながらトップスピンを打つと、スピン量は減るがボールは重くなる。

31. マルティン・クーリザンのフォアハンド強打

マルティン・クーリザンのフォアハンド強打:フォアハンドのトップスピンで強打している。注目ポイントは、インパクト直後にラケット面が上を向いているところである。一般のアマチュアのなかには、スピンをかける場合に、ラケット面を下に向け、かぶせていくようなイメージを持っている方も多い。
また、インパクトにおけるラケットと手の位置関係も重要である。インパクトでは、ラケット面と手首の位置がネット方向に平行になる。アマチュアのなかには、ラケットが先行しながらインパクトしていくようなイメージを持っている方も多いが、その場合ボールは飛ばなくなる。グリップエンドからフォワードスイングを開始し、インパクトではラケット面よりも手首が前に出た形でインパクトするくらいのイメージで良い。

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32. フェルナンド・ベルダスコのフォアハンド強打

フェルナンド・ベルダスコのフォアハンド強打:トッププロのなかでも随一のポテンシャルを持つベルダスコ。運動能力が非常に高く、スイングスピードを上げるセンスは抜群。未だグランドスラムのタイトルをとったことがないのが不思議なくらいである。豪快なフォアハンドと、強力なサーブで相手をねじ伏せる。弱点を見つけるのが難しい。フィジカルも優れており、全身の筋肉が盛り上がっている。自分が100パーセントの力を出せば、勝てない選手はいない。
勝利への貪欲さが今ひとつ足りないか、グランドスラムで勝ちきれない。プレースメントや戦術・戦略面、対戦相手の研究・分析不足が原因。相手に勝つには相手のプレーに順応する能力が必要であり、相手のプレーに合わせつつ、相手の嫌がるプレーをする必要がある。そういったことに長けているのがフェデラーや錦織。戦術的なセンスがあれば、グランドスラム優勝の常連になっている才能の持ち主。

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それぞれの方向から見たベルダスコのフォアハンドストローク